少し…


心が傷んだ。


桜桃羽さんの心の中にいるのは、会社の上司なんだ…


そう思うと、そのリアルに、僕の心がかきむしられる思いがした。


『葉子さん…それはあまりに人のプライベートに立ち入り過ぎです。桜桃羽さんが誰といようが、彼女の自由です。それに、僕は、桜桃羽さんとお付き合い出来るなんて、そんなことは…思ってません。ただ…この先…僕の心の中には、永遠に桜桃羽さんしかいません』


その思いに…全く嘘はなかった。


紛れもなく、それが僕の本心だった。


『先生、ひどいわ。桜桃羽さんなんか男なら誰でもいいような女ですよ!あんな人は止めて、私じゃ、ダメですか…』


半分泣きながら訴えて来る。


僕は、一呼吸おいてから答えた。


『桜桃羽さんはそんな女性ではありません…それに、僕は葉子さんがダメなんじゃないんです。桜桃羽さん以外の人は考えられない…そう言っているんです』