麗央さん…


『翔吾、行きましょう』


翔吾君の手を引っ張って行く山科さん。


チラチラと後ろを振り返りながら去っていく翔吾の切ない顔を見るのが、すごく苦しかった。


『麗央さん…ごめんなさい。私のせいで…』


『桜桃羽は悪くないだろ…ありもしないことを言われたら…黙っていられない。でも…翔吾君には申し訳ないことをした。子どもは、母親が他の人に攻撃されたら嫌な思いをする。なのに俺は…』


『麗央さんは悪くないです、私です。でも…私のこと、かばってくれて、本当に…嬉しかったです』


色目なんて、本当に使ってないから…


信じてくれたんだ、麗央さん。


『桜桃羽…』


『え…は、はい』


『工藤 湊先生って…君のことが…い、いや、何でもない。車に戻ろう』


麗央さん…


工藤先生のこと気にしてるのかな…


でも、自分の気持ちがハッキリわからないままじゃ、何も言えないよ…


本当に…ごめんなさい。