『陶芸教室の先生です。有名な若手の陶芸家で、それはもう素敵な先生です。彼女は、半年前から陶芸教室に通ってますけど、私が見てる限り、湊先生を狙って色目を使ってるんです。だから、水瀬さんにこの前注意したんですけどね。湊先生だけかと思えば、他にも…本当にどういうつもりかしら』


その言葉は、麗央さんの厳しさになんか負けないと言うくらい辛辣だ。


『この前も言いましたよね。私は工藤先生に色目なんか使ってません。あの先生は、みんなに平等に優しいんです』


麗央さんに、工藤先生に告白されたことは…やっぱり言えない。


『水瀬に限って、男性にそんなことをするような人間ではありません。実際、私にもそんなことはしていません。何度もいいますが、彼女を誘ったのは、私の方です。いいがかりは止めて頂きたい』


『いいがかりですって?この女はね、湊先生を…』


『ママ!止めようよ。もう帰りたい』


翔吾君のその言葉に、私達はみんなハッとした。


『すまない。びっくりさせたね。君のお母さんとケンカしたわけじゃないんだ。間違いを正したかっただけなんだ。でも、言い方がキツくなってしまって申し訳ない』