『えと…体育です』


『すごいな。スポーツが好きなのかな?』


『はい。サッカーが好きです』


本当に、このやり取りが愛おしいくらいホッコリする。


子どもって…いいな。


『あの…水瀬さん。ちょっといいかしら?』


山科さんが、少しキツめの声で言った。


一瞬で優しい雰囲気が壊れる。


『あ、はい。どうかしましたか?』


『こんなところで男性と、しかも会社の上司と2人きりで歩いてるってことは、付き合ってるの?もしそうなら、彼氏がいるのに湊先生にまで色目を使ってることになるわね。あなた、どういう神経してるの?』


突然、麗央さんの前でそんなことを言われて戸惑った。


『あの…私…紅月さんとは…』


まごまごしていたら、麗央さんが口を挟んだ。


『水瀬は私どもの大切な社員です。今日は私が彼女を誘いました。失礼ですが、湊先生と言うのは?』


麗央さん?


ちょっと…怖い…かも。


これが、波山さんが言ってた…厳しい麗央さん?