『忘れようとした…めちゃくちゃ努力したよ、俺。でも、どれだけ桜桃羽のこと忘れようとしても、お前は全然俺の中から消えないんだ』


嘘…


私のこと…


そんな風に想ってくれてたの?


『ちょっと…変なこと言わないでよ。そんなこと言ったら…ダメだよ。龍聖君には、あんな可愛い瑠奈さんがいるのに…』


ダメだよ…なんて言って…


でも、ほんの少しだけ…


嬉しかったんだ…


私、どうしてこんな気持ちになるんだろ?


それでも…やっぱり…


龍聖君には瑠奈さんがいる。


『このままじゃまた、俺…桜桃羽のこと…』


龍聖君は、しばらく黙って、でもそれ以上は何も言わなかった。


『ごめん…今日はもう切るね』


『あ、ああ、ごめん。また…連絡するから』


ゆっくりとスマホを耳から離す…


そして、テーブルに画面を伏せて置いた。


まだ…ドキドキしてる。


思わず、胸に手を当てた。


ズルいよ、龍聖君。


彼女がいるのに、あんなセリフ…