『そんなこと気にしてたら仕事なんて何をしても何も達成出来ない。失敗を恐れてはダメだ。先輩から学ぶんだ。精一杯やって失敗したなら、それは、後々の自分に必ずプラスになる。不安かも知れないが俺もサポートするから』


紅月さん…


『本当に…私なんかに出来るんでしょうか?』


リストラになった会社では、ただの経理だったから…


保険会社ってことは、生保レディだよね…


営業なんて…やっぱり自信ない。


『大丈夫。とにかく、すぐに働けるようにするから。いいな』


どちらにしても、仕事は探さないとダメだし、ここまで言ってくれたから…


『あ…はい…本当にすみません。じゃあ、甘えます。ありがとうございます』


思わず、厚かましくお願いしてしまった。


紅月さんは、ニコッと笑った。


バイオリンを弾き終えた時みたいな優しい顔。


この顔も、真剣な顔も、そして…ちょっとセクシーな顔も…


どれも本当に…


綺麗で、何とも言えず素敵だった。