僕は、まるで、何かに取り憑かれたように作品を作り続けている。


桜桃羽さんが、誰かと幸せになっているならそれでいい…


そんなことを思えた時は、作品に優しさがこもる。


逆に、彼女に会いたいと叶わぬことを願ってしまう時は、荒々しさが出たり…


自分の感情に左右されるようじゃ、陶芸家として一人前とは言えないな…


それでも、いくつか良い作品に恵まれ、有り難いことに、知り合いから個展を開いてみないかと話があった。


悩んだけど、僕はそれを引き受けることにした。


今まではずっと断り続けていた個展の開催。


でも、今は自分の生み出した物をたくさんの人に見てもらえたら…


それは幸せなことなのかも知れないと思えるようになった。


かなり広いギャラリーに並んだ自分の作品を見て、ようやく個展を開いた実感がわいた。


連日盛況で、雑誌やテレビの取材なども入り、多くの人に作品を知ってもらうことができた。