ホテルの人に付き添われ、桜桃羽は…


最高に美しいウェディングドレス姿で現れた。


みんな、一斉にため息をもらす。


でも…


1番、その姿に魅了されたのは…


もちろん、俺自身だった。


『綺麗だ』


近づいて、そう声をかけると、桜桃羽は優しく微笑んだ。


しばらく、身内みんなで写真を撮ったり、話をしたり…


笑顔に溢れて温かく流れる時間に、俺達はとてもリラックスすることが出来た。


『おめでとう、麗央』


『絢斗さん!今日はありがとうございます』


俺の目の前にいるこの男性。


彼は、ここ、グレースホテル東京の元総支配人で、今はグレースホテルグループの社長をしている。


うちの保険会社とは昔からの付き合いで、絢斗さんのことは、同じ経営者としても、プライベートでも、ずっと兄のように慕っている。


俺が、1番信頼を寄せる人だ。


『桜桃羽、紹介する。こちら、深月 絢斗(みつき あやと)さんだ。そして、奥様の一花(いちか)さんと息子さんの北斗(ほくと)君。絢斗さん、妻の桜桃羽です』