一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~

『わ、私、帰ります。演奏、ありがとうございました。失礼します』


そう言って、慌てて席を立とうとしたら、紅月さんが私の腕をつかんだ。


ハッとして、思わず、紅月さんの目を見てしまった。


『帰さない。今夜は…もっと君といたい』


あまりに甘くてドキッとするセリフに「この人になら騙されてもいい」って…


なぜか、そんなこと思ってしまった。


『そ、そんな言葉…私なんかに言っていいんですか?奥さんか彼女さんに怒られますよ』


『…そんな相手はいない』


淡々と話す紅月さん。


『…紅月さんみたいな人にパートナーがいないなんて、嘘ですよ。やっぱり、こんなの良くないです。私、帰ります』