きみのへたっぴな溺愛

「お、おかあさんっ…」


何を言っているの…と慌てふためく。


「い…や、誤解です!あの、俺、い、おりちゃんの隣の家に住んでいて…。あ、自己紹介してなかった。遅れました、望月遥斗です……」


焦ったように早口で告げてくれた彼を見る。


「ご、ごめん、遥斗くん。お母さん普段からテンション高くて…」

「あははっ、そうなの。ごめんなさいね、冗談よー?」


少しも悪気のなさそうな口調で、お母さんは続ける。



「望月遥斗くんね。あっ!そういえば、引っ越しの挨拶にご両親が来てくれたわ。素敵なご家族ね」

「あ、ありがとうございます…」

「あら?ご両親は長期出張に行ってるってお話しだったかしら?」

「そう…です。8月に帰って…きます」


遥斗くんとお母さんの会話を見守りながら、次に出てくる言葉の見当がついてしまった。


「じゃあ…夜ご飯、ウチで食べてく?」


…やっぱり。


「え、あ…いい、んですか…?」

「うん、もちろん。せっかくだし食べて言ってよ」

「ありがとう…ございます」