もっと伝えたいのに、

時間は待ってくれない。


だんだんとボーっとしていく。


「お母さん、とお父さんにっ..... 伝えられて、よかっ.....た......幸せ...っだったよ....あり、がと....う」


幸せだった。


でも、もう時間切れみたい。


そーちゃんにも、伝えたかった。



意識が切れる瞬間だった。



──ドンッ、


「菜乃花....っ!」


──ッ

一瞬、ほんの一瞬だけどそーちゃんが見えたような気がした。


あぁ、最後にそーちゃに会えてよかった。

「あ........と......ぅ」

───ありがとう。

最後の最後に会えてよかった。

たとえ、幻だとしても....


ピーーーーーーーー

そして、私はこの世を去った。

部屋中に鳴り響く機械音。


その音はとても残酷な死のお知らせのようだった。