好きになってごめんね。〜たくさんの幸せをキミと〜

「わ〜一条くん綺麗だね」


俺の服の裾を軽く引っ張りながら楽しそうに笑っている。


「そうだな....」


それから少しして館内をゆっくり進んで行く。



急に彼女がピタッと止まった。



「....ねぇ、一条くん」


クイクイと袖口引っ張り上目遣いでこちらを見ている。


「......何?」


何故だろう.....違和感しかない.....。

菜乃花の時と違う。

......すごく不自然だ。


「あのね、輝空って呼んでもいいかな?」


────さよなら──輝空───。


───ッ


「......もちろん、いいよ」


少し反応が遅れたがすぐに笑顔を取り繕った。


あの別れの日の台詞が脳内で再生される。


あんなもん植え付けやがって!

名前を呼ばれるたび思い出しちまうだろ、