好きになってごめんね。〜たくさんの幸せをキミと〜

「私は大丈夫だから、そんな顔しないでお母さん」


大丈夫、私は大丈夫。


「でもね、菜乃花....すぐに死ぬわけじゃないのよ。もしかしたらドナーだって見つかるかもしれないし」

涙を流しながら必死で、畳み掛ける。


「うん。わかった、そんなことよりお母さん私、喉乾いちゃった!買ってきてくれる?」



「あら、そうなの....すぐ買ってくるわね。


椅子から立ち上がると財布を持って部屋から出ていった。


──ガラガラ
バタン。




私、死ぬんだ....。

全然現実味がない。


ただ、

「ごめんね...雪ちゃん、私.....雪ちゃんとの約束守れないやっ」


──ポタッ、

「.....うっ....っ、ふっ....ぅ」


ポタポタと落ちる涙がシーツに染み込む。



お母さんの前じゃ泣けない....


きっと私のいない所で沢山泣いてるはずだから。


せめて笑顔でいなくちゃ....