好きになってごめんね。〜たくさんの幸せをキミと〜

「く.....っう、.....っ」


涙が出るのなんていつぶりだろう....


ただ、それほど菜乃花を想っていたんだ、


誰よりも大切な女の子。

何者にも変えられない大切で愛おしい存在。


だけど、もう俺の腕の中にはいない。

少し前までの幸せな日々がうそのよう。


記憶を辿ればたどるほど、彼女の存在が大きくなっていく。












──時間は巻戻らなければ止まらない。



今日は平日普通に学校がある。


だけど、行く気になれない。


いつもならもうとっくに、菜乃花を迎えに行っている時間。





「輝空ーもう、行く時間じゃなーい」

下から母さんの声が聞こえる。


パタパタとスリッパで階段を挙がる音がする。


──ガチャ。

「輝空?」