菜乃花の微笑みは息を飲むほど綺麗だった。
その微笑みが最後なんだと感じられるほどに....
──少ししてから他の客が入ってきて、ようやく歩くことが出来た。
家に着くや否やベットに寝っ転がり右腕を目を隠すように置き目を閉じた。
目を閉じれば脳裏にはさっきの菜乃花が浮かぶ。
『──さよなら、輝空』
なんだよ、''輝空’’っていつもはそんな呼び方しないくせに....最後だけ名前で呼ぶなんてずりぃよ
顔の横をツーっと何かが、なぞる。
ガバッと起き上がった。
俺....泣いてるのか.....
「は、ははっ....」
乾いたような笑い声。



