菜乃花が言う''あの場所’’とは温室のこと。


花時計公園にはかなり広い温室がある。


そこには季節関係なく、色とりどりの花が咲いている。



そこは......俺と菜乃花が初めてであった場所。



そう俺はあの時、菜の花が咲く中に一人でいる女の子に....菜乃花に惚れたんだ。








15分くらいして温室に着いた。



たしか、菜の花のところ.....に、居た!


菜の花の中に立っている彼女の姿は昔と変わらずものすごく綺麗だ....。


魅入ってしまうほどに。


俺は後ろから彼女を抱きしめた


「菜乃花、どうしたんだ、急に温室なんて」

だけど、


抱きしめた手がするりと、とかれる。


菜乃花の顔を見ると、すごく落ち着いて冷静な顔立ちをしていた。

一瞬ヒヤリと嫌な音をたてる。


「菜、乃花....」


どうしていつもみたいに抱きしめ返してくれないんだ。


いつもの菜乃花なら、「そーちゃん」って言って笑顔で力いっぱい抱きしめ返してくれる。