「ほらじっとして!」
「うっ、苦しぃ」
今からそーちゃんと行く初詣の着物を着つけてもらっている最中。
「よし完成!よく似合ってるわよ」
全身鏡の前でくるっと回って確認する。
「わ〜お母さんありがとう」
「ほら、菜乃花急ぎなさい輝空くん待ってるんでしょ」
「うん!行ってきます」
さっき連絡があってそーちゃんは家の前で待ってるらしい。
──ガチャ。
玄関の扉を開けると、そーちゃんが壁によっかかりながら待っていた。
「そーちゃんおまたせ」
「......」
何故か無言でこちらを見たまま固まっていた。
「?そーちゃん...」
顔の前で手を振るとハッ!とした表情の後に「見惚れてた」と言って手を差し出した。



