好きになってごめんね。〜たくさんの幸せをキミと〜


ゴンドラの窓から外を見渡した。


少しづつ上がっていく。

人がだんだん小さくなって地上から離れていく。



「──花」


「─菜乃花」

ぼーっと窓の外を見ていたから呼びかけられていることに気づかなかった。


慌てて笑顔を取り繕って答えた。

「どうしたのそーちゃん」


私、いつからぼーっとしてたんだろう....。

頭の痛みがずっと治まらなくて気を紛らわすために窓の外を見てた。

怪しまれたかな。


「いやっ戻ってきてからずっと元気がないように見えたから」


右手で首の後ろを抑えながらそんなことを言うそーちゃん。


──戻ってきてからずっと。


気づいてたんだ......。


完璧だったと思ってたのに、そーちゃんには分かっちゃうんだ。


やっぱりそーちゃんには敵わないな....。


「ふふっそうなんだ...」


そーちゃんが言ったことに笑顔で肯定すると、少しびっくりしたような表情をしていた。


「実はね、観覧車の頂上でどうやってそーちゃんとキスしようかなって考えてたの」


そーちゃんの方を見てみるとポカーンとした顔をした後にぶわっと一気に赤くなった。