「行ってきま〜す」

ガチャッっとドアを開けると家の前で寄りかかって待っているのが私の幼なじみ。

「そーちゃん。おはよう」

「はよっ菜乃花」

ニコッと笑って挨拶を返してくれたそーちゃん
学校では女嫌いで有名なそーちゃんも私にだけは
とっても優しい。

そんなことを考えながらそーちゃんの顔をまじまじ見ていると。

「なーにひとの顔をジロジロ見てんだ、」

「イタッも〜そーちゃんデコピンしないでよー」

ムッ〜とした顔をして言うと

「人の顔ジロジロ見てるのが行けないんだろ
ほら、さっさと学校行くぞ!」

「あっ待ってよそーちゃーん」

こんなやり取りがいつもの私たちの定番。
学校でもこんなやり取りをしていると最初は「付き合ってるの?」「あの一条くんと仲良いの!」
としょっちゅう質問攻めをされ、そーちゃんに
「学校では話すのやめようか?」と提案したこともあったけどそーちゃんに「ダメだ。」と却下された。

「別にただの幼なじみなんだから堂々としてれば
いいんだよ」とそーちゃんは私をフォローしたつもりで言ったみたいだったけどその時胸がチクッ
と痛んだ......''ただの幼なじみ’’その言葉があの日から小さな小さな棘のように刺さっている……。