唇が離れると、菜乃花は真っ赤な顔をしていた。


俺も菜乃花のことは言えないくらいきっと真っ赤だ。


暗くてよかった。

暗くなかったらわかってしまう。


「帰ろうか、」

俺はそう一言言って手を差し伸べた。

菜乃花は「うん!」と言って俺の手をとった。


手を差し伸べたら取ってくれるこんな些細なことがものすごく嬉しい。


お祭りからの帰り道俺たちはキスの余韻がまだ抜けていなくて少しぎこちなかった。


だけど、それが妙に嬉しかった。

菜乃花が俺の事を本当に好きでいてくれたんだとものすごく実感できた。