「いやー、疲れた。午前中に体育は組み込まないで欲しいなぁ」


隣の席に堂々と腰を下ろしたチョコが、肩を回して宣う。
ごく自然に現れた彼女に、私は数秒固まった。


「……え、何で来たの?」


昼休み。昨日まで毎日私のクラスへ来ては、「取材」と称して雑談に勤しんでいた彼女。
曲がりなりにもそれは新聞作成のための行為で、てっきり新聞を作り終えたらもう現れないと思っていた。

酷いなあ、と肩を竦めたチョコが、サンドイッチにかぶりつく。


「友達にその言い草はないじゃないの。わざわざクラスまたいで来てるっていうのに」

「……友達」

「あれ、違った? 私の一方通行かぁ」


私の反応に、彼女は特別落ち込むわけでもなく、あっけらかんとして食事を続けた。

友達、だったのか。どうなんだろう。
でもよくよく考えてみると、彼女といたおかげで昼休みに一人で食事をとることはなかった。

過激派集団に絡まれた時だって、チョコが来なければただただバストサイズを馬鹿にされて終わっていただろう。彼女が私のことを記事にして、あの場で白黒はっきりさせていなかったら、未だに居心地の悪い思いをしていたかもしれない。


「……あの、ありがとう」