「はい、到着ー」


車が、学校の駐車場に停まった。

それぞれに荷物を持って、イズミンにお礼を言いながら降りていく。


「んじゃここで解散ね。気をつけて帰んなさいよー」

「ういーす」


車から降りて見えたグラウンドでは、サッカー部や陸上部が練習していた。

校舎の中からは、吹奏楽部の演奏が聞こえてくる。


一見すると、いつもの放課後みたいな感じ。

だけど今は全然、放課後の時間なんかじゃなくて、12時を過ぎたばかりのお昼時。


「あー、寝不足だから帰って寝よー」

「洋平、昨日1番に寝てなかった?」

「俺の平均睡眠時間は12時間なんだよ」

「それ、毎日何時に寝てるんですか」



今日は天気がいい。


空が青くて、眩しい。



「七瀬、家、帰れる?」


青い空を見上げていたら、瞬先輩の声が聞こえた。


「大丈夫です、帰れます」


昨日、あんな話しをしたせいで、きっと心配してくれているんだ。


「お母さん、仕事に行ってていないと思うし、帰っても1人だから大丈夫です」

「そっか」

「はい」



空が青い。

悲しいくらい青い、空の下。


どんなに悲しくたって、私が帰るべき場所は1つしかないから。



帰ろう。


私の家へ……