入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。

心当たりがなくて瞬きをする。


「早く気が付いてあげないと、かわいそうですよ? 彼、仕事を休んでいる美緒さんを心配して何度もアパートに来てましたから」


彼?


一体誰のことだろうか?


「それって誰のことですか? 本当に心当たりがなくて――」


「教えません。自分で気が付いてください。じゃ、そろそろいきましょうか」


陽菜は美緒の言葉をさえぎり、意地悪く微笑む。


そして、石段へ視線を戻した。


美緒は怖くて下を見れなくて、代わりに空を見上げてみた。


満点の星空が自分たちを賞賛しているように見えた。


そして次の瞬間、2人で石段を転げ落ちていたのだった。