「そろそろ俺とデートするか」


深の直球が頭上から降りかかってくる。


一瞬深と視線を合わせると、その目はおかしそうに細められていた。


それを見た瞬間またからかわれていると理解して、睨み返す。


「そういうの、全女性社員に向けて言ってるんでしょう?」


語気を荒げて聞くと、深はパッと身を離して「なんだ、バレてんのか」と、つまらなさそうに唇を尖らせた。


子供のようなしぐさに大きくため息を吐き出す美緒。


やっぱり、そんなことだろうと思っていた。


「バカなことやってないで仕事しなさいよ」


チャラい同僚にそう声をかけて、美緒はロッカールームへと向かったのだった。