入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。

そして……。


「陽菜。俺と結婚してください。ここ最近陽菜がようやく俺にわがままを言ってくれるようになって安心した。ちゃんと自分の素を出してくれるようになった陽菜となら結婚できると思ったんだ」


リビングに戻り、赤ワインで乾杯して少し頬が赤くなってきた頃。


大河はおもむろに立ち上がり、どこに隠し持っていたのか指輪の箱を取り出してそう言ったのだ。


美緒は一瞬思考回路が停止して、ぼーっとその指輪を見つめた。


真ん中に大きなダイヤモンドが付いていて、蛍光灯の光で輝いている。


それは自分がずっと恋焦がれていたもので、それが目の前にあることが信じられなくて、また夢を見ているような気分になった。


「陽菜?」


声をかけられてハッと我に返り、大河へ視線を向ける。


大河は不安と緊張が入り混じった表情で美緒をジッと見つめていた。


いけない、早く返事をしてあげなくちゃ。


そう思うのに、言葉が出てきてくれない。


陽菜ならきっと満面の笑みを浮かべて受け取るはずだ。


だから自分もそうしなきゃ!


でも、これを受け取るのは本当に自分でいいんだろうか?


この瞬間を見ているのが自分で、本当に正解なんだろうか?


そう思うと言葉はどんどん飲み込まれていく。


「陽菜、嫌なら正直に言って」