そのまま腕に力を入れて抱きしめた。


あれだけ触れてみたいと思っていた彼に今触れている。


抱きしめあっている。


有頂天になってしまいそうなのを必死で我慢して、大河の香りを楽しんだ。


「ご飯、できてる?」


じっくり1分以上抱き合ってから大河は身を離して聞いてきた。


「は、はい! できてます!」


思わず緊張して返事をすると、大河はクスッと笑った。


「なんで敬語?」


そっか。


陽菜さんと柊さんは恋人同士だから、敬語なんか使わないんだ。


気が付いて、喉を鳴らしてつばを飲み込む。


緊張しながら「できて……るよ」と、言い直す。


「ん。じゃあ食べようか」


大河は美緒の頭をポンッとなでてキッチンへ向かった。