「階段って結構しんどいですね」


不意にそんな声がして、階段の途中で振り向いた。


今はまだ2階まで上がってきたところだ。


4回まであと半分ある。


「え……」


振り向いた先にいた人物に驚き、美緒は言葉を失った。


美緒の後ろを追いかけるように歩いてきたのはさっき受け付けにいた女性、大河の彼女だったのだ。


彼女は右手に紙袋を持っている。


きっと、大河の忘れ物がそれに入っているのだ。


「驚かせてすみません。同居人の忘れ物を届けに来たんです」


そう言って彼女は紙袋を少し上げてみせた。


「そうですか……」


美緒はふくざつな笑みを浮かべてうなづく。