思わぬ光景に、私も叶ちゃんもドアにかけていた手を離して固まった。
「え……?」
「今…キス、した…?」
言葉も出ない私の代わりに叶ちゃんがそう言葉に出して、やっぱりそう見えたのは私だけじゃなかったんだと落胆する。
せめて私の見間違いであってほしかった…。
だって旬佑先輩は架子ちゃんと付き合っているのに、後ろ姿だけだけど明らかに架子ちゃんじゃない人とそんなことするなんてありえないもん。
「おりちゃん、大丈夫?」
「えっと…見間違い…だよね?」
どうか見間違いであってくれ。
そう願いつつ、口に出すと叶ちゃんは暗い顔をして、そのまま多目的室のドアを開けた。
叶ちゃんがドアを開けた瞬間、こちらを見るのはやっぱり旬佑先輩と架子ちゃんじゃない女の人。
旬佑先輩は私と叶ちゃんの顔を見た瞬間焦ったように口をパクパクと動かした。
「旬佑、春夏ちゃん何してるの?」
振り返った2人に叶ちゃんは少し怒ったような声音でそう聞いた。
多分、叶ちゃんと同じクラスの女の子だ。
時々教室に行った時に見たことあるもん。


