「まじで俺のこと好きになろうとしてんのウケるわ」



「えっ…と…」



「でもお前つまらないしもうどうでもいいわ」






次々と発される言葉は私の理解を超えてどうしたものかと頭を抱える。



そんな私を笑いながら、谷くんは突き飛ばして転んだ私の顔を覗き込んできた。






「滑稽だなぁ、木下のせいで友達も恋人もできない人生なんて」






谷くんはそう言うと、私に馬乗りになって腕を振り上げた。



殴られる。



そう身構えた私に、その拳はしばらくしても届かず目を開けると


いつものように何を考えているか分からない笑顔で有澤くんが谷くんを羽交い締めにしていた。






「あ、有澤くん…」



「あはは〜、沖田ちゃんに手出していいのは椛だけなんだよ〜」



「離せ!」






有澤くんは暴れる谷くんを少し冷たい目で見たあと、離してまた笑う。






「沖田ちゃん、こいつが言ってた椛から聞いた沖田ちゃんの悪口全部椛は言ってないからね〜」



「あ、うん…」



「まぁ2人なら〜通じあってる?あはは!」






そう言って笑いながら有澤くんは足で谷くんを蹴飛ばす。


その勢いで転がった谷くんを何度も何度も笑いながら蹴る有澤くんは異様だ。






「お前さ〜椛敵に回すってバカだよねぇ〜」



「あいつなんて怖くねぇよ!」



「怖い怖くないはどうでもいいけど〜、沖田ちゃんが絡んだ椛は俺より凶悪だと思うよ〜」