幼恋。





【おりはside】



私が叶ちゃんと、帰ってきてしばらくだった頃


谷くんから電話がかかってきた。






「もしもし?」



『おりは!急いで街に来てくれない?』



「え、なんで?」



『いいから早く!』






でももう7時なのに…と言おうとしたら一方的に電話を切られてしまう。



どうしたものか困っていると、叶ちゃんがキョトンとした顔で私を見た。






「大丈夫?」



「えっと…今から街に来てって…」



「街?こんな時間から?治安悪いよそこ」



「うん…」






もうすぐご飯だしどうしたものかと電話をかけ直しても出なくてメッセージも既読がつかない。






「行くなら送るよ、危ないから」



「うーん…」






送って貰うのも申し訳ないな…なんて思うけど断っても叶ちゃんは優しいから着いてきてくれると思うしお言葉に甘えよう。






「でもなんだろうね?そんなところに呼び出すなんて」



「なんだろう?」






なんて会話を叶ちゃんとしながら玄関へと行くと


私達が玄関を開けようとしたと同時に、外からガチャっと開いた。






「どこ行くんだよ」






そう、不機嫌な顔で入ってきたのは椛。