「どう?」






叶ちゃんはしばらく考える時間をくれたあと私にそう聞いてきた。


だけどやっぱり上手く想像できない。






「上手く想像できないし、ドキドキとかそういう感じじゃないかも…」






谷くんには申し訳なさすぎるけど、やっぱり現時点では好きではないみたいだ。






「そっか、まぁ今は好きじゃないみたいだし今後もなれなさそうなら少し考えてもいいかもね」






叶ちゃんのその言葉にやっぱり白黒はハッキリさせるべきだと思った。






「おりちゃん」



「ん?」






私が谷くんとの事ちゃんとしようと考えていると

いつの間にか家に着いていて、叶ちゃんは私の名前を呼んだ。



叶ちゃんの言葉に叶ちゃんの方を振り向くと
ふわっと体があたたかい感覚に包まれた。






「え…?」






そう、叶ちゃんに抱きしめられたと気づいた時には叶ちゃんは離れていて

少しだけ叶ちゃんの香りが残り香として残っているのにドキドキした。






「どう?ドキドキした?」






叶ちゃんはそう言ってイタズラが成功したような顔で笑った。


そんな叶ちゃんが可愛くて少しだけドキッとしたのは恥ずかしいから内緒。






「もう、びっくりしたよ」



「あはは!おりちゃんはそんな顔が可愛いよ」






そう言いながら、叶ちゃんと家の中に入った。



なんだかんだできっと叶ちゃんは悩んでる私を笑わせてくれたんだろうな。優しいな。



と、叶ちゃんの優しさを再確認したのだった。