「中学から付き合ってた子が1人居るけど、高校入ってすぐ振られちゃったよ」



「そう…なんだ…」






谷くんの切ない笑顔を見て、付き合うって別れもあることを思い出した。


そうだよね、ずっと好き同士いられる人もいるし、そうじゃない人もいるよね…。


なんだか聞いてしまって申し訳ない気持ちになっていると、谷くんは私の頭を撫でてくる。






「でも大丈夫、今はおりはがいるし?
おりはが俺のこと好きになってくれるの気長に待つよ」






私の頭を撫でてそういう谷くんに私も笑い返した。






「好きになれるか分からないなんて最低だと思うけど…ごめんね」



「いいよ、俺が提案したし!
それにおりはに一目惚れしたのは俺だから」






一目惚れ…。


私の何がいいかは分からない。
話が面白いわけでもないし…。


でもそう言ってくれる谷くんをちゃんと大切にして、向き合おう。



そして好きになれたらきっとすごく幸せだろうな。




なんて思うと少しだけこれから2人で過ごす時間が楽しみになってきた。






「おりは、もうすぐ花火だって!」



「花火!みたい!」



「あはは!じゃあ穴場に連れて行ってあげる」






谷くんはそう言うと私の手を引いて人の少ない通りに出ていく。






「どんどん離れてるよ?」



「大丈夫大丈夫」






祭り場所から離れて
坂道をのぼって行く道に少し不安になりながらも谷くんについて行くと



先程の祭り場所を上から眺められる小さな空き地についた。