谷くんと2人、屋台を見て回りながらも谷くんが私と手を繋いだまま離さないのが気になってしまう。






「おりははさ、木下たちと暮らすの嫌じゃないの?」



「叶ちゃんと椛と?」



「うん、普通年頃の子が男と同じは嫌じゃない?」






谷くんがおもむろにそんなことを聞いてきて世間ではそういう感じで見られてるんだと思う。






「嫌とかはあんまりないかな…
生まれた時から一緒だし、部屋とかトイレお風呂も家族ごとに違うしね
同じなのはリビングくらいだから」






私がそう言うと、谷くんは驚いたように目を見張った。






「え、じゃあ実質別に住んでる感じなの?
リビングだけ共同?」



「うん、お互いの父親が忙しいから迷惑かけないようにってそうしたみたいだよ」



「そうなんだ!じゃあおりはが木下達になにかされる心配はあんまりなさそうだな」






谷くんはそうほっと一息ついて笑う。


なにかされるもなにも2人とも優しくていい人だから心配することなんて何も無いのになぁなんて。




そんなことを考えながら、そう言えば私は谷くんと向き合うなんて決めたのに

谷くんが聞いてくることにしか答えたないのに気がついた。






「谷くんは今まで恋したことはあったの?」






私もちゃんと知ろう!と、谷くんにそう質問すると、谷くんは少し悲しげな顔になったあといつもの笑顔に戻る。