椛の部屋に入ると、椛はベッドに座って冷たい目で私を見た。






「お前のことバカだアホだとは思ってたけど嘘つくようなやつだとは思ったなかった」



「椛…」



「そんなにあいつは良い奴なのか?」






淡々とそう話す椛に返す言葉もない私。


何がどうあれ私がしたのは嘘をついたという事実。



しかも谷くんのこと好きな訳では無いなんてどう言えばいいのだろうか。



そんな私の反応で思っていることがわかったのか、私は引っ張られてベッドに放り投げられた。






「おりはは好きでもねぇやつと付き合うのか、そうかそうか」



「な、なにするの?!」






私をベッドに方に投げた椛は、私の上に覆いかぶさって首元に顔を埋めてくる。



突然の出来事に困惑していると、首元に結構な痛みが走った。






「な!痛い!」



「バカが」






なんの痛みなのか理解するのに少し時間がかかったが、恐らく首元を噛まれたのだろう。


少し血が出てきているのがわかった。






「出ていけ。顔みたくない」



「……わかった」






自分で連れてきておいて人を噛んだら出ていけなんて酷いような気もしなくもないけど、とりあえず従って出た。



椛が見えるところを攻撃してきたのなんて初めてだったから未だに私の心臓はバクバクと音を立てていた。