「誰だお前」



「えっと、隣のクラスの谷理央くん」






怖い顔の椛に紹介しつつ、笑うと
谷くんが私の肩に腕を回してきた。






「ちなみに俺の彼女」



「はぁ?」






椛の迫力に臆することなく、というか逆に堂々と谷くんはそう言いきる。



その件に関してはもっとちゃんと話し合いしたかったんだけどな…なんて少し思いつつ、私は口を挟めず2人を見守る。






「付き合ってる?ありえねぇ」



「本当だよ?ね、おりは」






見守っていた私に肩を組んだまま私に笑いかけてくる谷くん。


どう答えていいのかわからず曖昧に笑っていると、椛からも鋭い視線で見られてもっと困ってしまった。






「俺の許可なしに他の誰かと付き合うなって言わなかったか?」






どうすることも出来ず苦笑いを顔に張りつけたまま動けない私に椛はそう言い放つ。


ああ…絶対怒ってるよこれ…。






「とにかく!俺の彼女に手出したりしないでよね木下くん」



「別にこんなちんちくりん興味ねぇよ」



「あはは、おりはは可愛いのにね?」






谷くんの言葉にそう言いつつも怒りが収まっていない様子の椛。


そんな姿に私と叶ちゃんで顔を見合わせていると、谷くんは私から離れて手を振る。






「じゃあ連絡するね!ばいばい!」






あまりに笑顔だったから私も思わず手を振り返すと、さらに笑顔で走り去っていった谷くん。


なんだかすごく自由人だなぁ…。



なんて、考えながら谷くんの後ろ姿を眺める私の肩に今度は椛が腕を回してきた。