【叶side】



『椛と沖田ちゃんが居なくなった』


そう騒ぎ始めたのは奏斗くんだった。




椛とおりちゃんがいなくなったのはみんな気づいていたが、奏斗くんに椛から連絡があったから大丈夫だろうと戻ってくるのを待っていたけど


いつまで経っても戻ってこない2人に奏斗くんはそう騒いだのだった。






「椛がそんなに遠くに行くはずない!!
俺の胸騒ぎは当たるんだよ!!!!!」






いつも飄々としている奏斗くんがすごい剣幕でそう言ったからみんなも続々と不安になってきて、考え込んだ。






「椛がどこか提案するわけない!!!じゃあ沖田ちゃんの行きたいって言ったところに行くはず!!
みんな沖田ちゃんの行きたいところ知らないのか!!」






奏斗くんの剣幕に押された僕達は考え込む中、架子ちゃんが『あ!』と声を上げる。






「海…行きたいって言ってたよね」






架子ちゃんの言葉に何を言うでもなく立ち上がった奏斗くんはバタバタと家から出ていってしまった。



その勢いに驚きながらも、僕達も続こうとしていると音を聞き付けた椎達も出てくる。






「なにごとだ?」



「椛とおりちゃんが居なくなったかもしれなくて…」






多少動揺している僕の言葉に何が言いたいのか察したようすの椎は車の鍵を持って僕たちに乗るよう声をかけた。