しばらく歩くと、冷たい風が痛いほど吹く海に着いた。






「冬でも海って綺麗だよね」






寒いと俺が肩を竦めていると、おりははそう言いながら俺の手を離して海の方へとスタスタと歩いていく。






「おりは」



「ん?」



「止まれ」



「んー、なんで?」






くすくすと笑いながら歩いていくおりはに俺は胸騒ぎがした。



あまりにも前の無邪気なおりはそのまますぎて、不吉な予感が。



でも俺の言葉に足を止めないおりははそのままズブズブと冷たい海に足を踏み入れた。






「おりは!」



「椛、冷たくて気持ちいいよ!」



「止まれっつってんだろ!」






あははと笑うおりはのもとに駆け寄って手を掴むとまたもやクツクツと楽しそうに笑うおりは。




どうしたものか俺が困っていると、おりはは俺の腕を掴むとそのまま自分のいる場所より深い海の向こうに突き飛ばしてきた。




その勢いで背中からダイブしてしまった俺は足がギリギリつきそうでつかないところだと気づき急いで泳ぎにチェンジする。






「お、おりは!」



「一緒に死んでくれるって言ったよね?」






冬だから厚着をしている服が濡れて重たい。



寒くて凍えそうなほど冷たい中であまり長時間は居られないと俺が思うとおりははそう言って俺の方へと自分も泳いでやってくる。