【叶side】
家に着いておりちゃんをベッドに寝かせると、椛は僕をじっと見てきた。
「悪かった」
そう言って謝る椛はどこまでもカッコイイよ。
僕じゃ到底叶わない。
「気にしないで。
椛だからおりちゃんを止められたんだよ。
僕じゃ死んだらダメしか言えなかった」
そう、死んだらだめ、生きよう。
その言葉しか頭になかった僕は
俺に命を預けてみないか、とか
一緒に死のうなんて椛の言葉は出てこなかったもん。
僕が笑ってそう言うと、椎が眉間に皺を寄せたまま口を開いた。
「あの男出てきてるなら厄介だな…。
おりははきっと軽く洗脳されかけてる状態だと思うし。
また接触されたらどうなるか…」
確かに、話を聞く限り今回おりちゃんは望んでおじさんと共に居たみたいだもんね。
もう二度と会わせたくないけどどうしたらいいんだろう…。
僕も頭を悩ませていると、椛はなんてことないみたいにケロッとした顔をしていた。
「俺がおりはと遠くで暮らす。
あんまり刺激がない自然豊かなところで。」
なんてことない当然のことだと言うようにそう言葉にした椛に僕も椎も驚いた。
「高校は?」
「通信でいい。
卒業したら在宅ワークできるところに就職する」
「そんな簡単じゃないぞ」
「そんなの知ってんだよ。
でもおりはのためだろうが。
それに、デザイナーになろうかと思っていくつか応募してたりするしな」


