そばに居るのに、彼氏なのに。
何も出来ない僕はなんだか涙が出てきて止まらなくなった。



そんな僕を戻ってきた椎は優しく頭を撫でてくれる。






「気にするなよ?
おりはのあれは発作みたいなものだから叶が悪いわけじゃない」



「うん…」






僕が悪くないのはわかる。
でも僕にはおりちゃんの苦しみが全然理解出来てないんだ。



何も出来なくて苦しむおりちゃんをただ見守るしかできない。
なんて無力な人間なんだろう。






「辛いよな、苦しいよな」



「辛いのも苦しいのもおりちゃんだよ」



「でもそれを支えるのも苦しいものだぞ?」



「うん……でもきっと椛ならもっと違うと思うんだ」






男らしくて頼り甲斐がある椛はおりちゃんに何かあってもきっと大丈夫だと思うもん。




どうして僕は優しいだけの人間なんだろう。
そんなことを何回思っても足りない。






「叶も部屋でゆっくり休め?」






思い詰める僕に椎は優しくそう言ってくれるから僕も部屋に戻ることにした。




僕がおりちゃんにできるのは優しくすることだけ。


無力すぎる自分だけどそばにいるしか出来ないならそうするしかないもんね。





辛くても苦しくても。
おりちゃんや椛に比べたらなんてことない僕がしっかりしなくちゃ。




部屋に戻ってそう、少しだけ意気込んだ。