「おりは、これ、自分でやったのか?」






僕が自分の無力さに絶望していると、椛はおりちゃんの腕を掴んで怖い顔をしていた。



腕を掴まれたおりちゃんは静かに頷く。




その腕には沢山の切り傷があって、きっと自傷行為をしてしまったあとなんだろうとわかる。






「俺はお前が生きてくれてるだけでいい。」



「でも私はこんなに汚い。
こんなんじゃもうお嫁どころか普通の女の子みたいになんてなれない」






椛から睨まれるおりちゃんはそう言いながらも涙は止まらず、ボトボトと床にこぼれていた。


そこは水たまりができるんじゃないかってくらいの涙の量。






「嫁に行けなかったら俺が貰う。安心しろ」



「でも…もう…」



「おりは、とりあえず俺達は別れよう」






プロポーズみたいなことを言った次の瞬間椛はおりちゃんに別れを告げた。


別れを告げられたおりちゃんは、またしても静かに頷くだけ。






「じゃ、元気にやれよ」



「うん」






突然の別れに僕だけが動揺してるみたいで、椛は言うだけ言ってそそくさと部屋から出ていってしまった。



取り残された僕とおりちゃんの間に沈黙が落ち、おりちゃんを見るとさっきよりも大きな涙をボロボロと流していて驚く。