「弟なぁ…あれが本当にライバルだとしたら強敵だろうな…色んな意味で」



「私が友達になったって聞きつけたときの木下くん凄い形相で私の事睨んできたよ」






旬佑は僕のため息の後、そう呟いて同じようにため息をつき、架子ちゃんも苦笑いをする。



椛が本当におりちゃんのことを大事にしてて、本当に好きなら僕も諦めがつくかもしれない。



でも、椛は実際僕たちが見てないところでおりちゃんに暴力してるのは明らかだし
椛の行動が好意ではなく独占欲の可能性もあるからなんとも言い難い。




でもでも恐らく…






「おりちゃんは自分で気づいてないかもしれないけど、多分椛のことが好きだよ」






僕はまた自分で言った言葉にため息が出そうになるのを寸前で止めて口を噤む。



おりちゃんは基本鈍感だから自分の気持ちにも気づいてないだろうけど、絶対そうだと思う。



でないと暴力を耐える理由も、椛に関わり続ける理由もないもん。



つまり僕は現時点で既に失恋。




そんな僕の言葉に2人が僕の肩をバシバシと叩いてきた。






「諦めるなよきょんきょん!」



「そうだよ!まだ木下くんからもおりはからも本当のことは聞いてないんだし!」



「そうだそうだ!それに、沖田ちゃんが自分の気持ち気づいてないなら好都合じゃん!
気付いてないうちにきょんきょん好きにさせればいいんだって!」






2人の熱い応援に思わず僕まで笑顔になるけど気持ちは相変わらずネガティブのまま。






「そもそもおりちゃん、僕のこと異性として見てないと思う」






お兄ちゃんかなにかだと思ってるよ…。


なんて話していると「買ってきたよ〜!」と明るいおりちゃんの声が聞こえてきて僕らもこの話を中断した。






「ありがとうおりちゃん」






結構大きい声で話してたけど今の会話聞かれてないよね…?



そんな不安を抱えながら、残りの昼休みをすごしたのだった。