【椛side】




やっとここまで来た。


今度こそおりはであってくれ。絶対に救い出す。



そんな気持ちを込めて元々ホテルだったっぽい廃墟を進んでいくと、3階の角部屋から物音が聞こえてきた。






「……ここか」



「気をつけるんだよ」






椎の注意を聞きながら、そっとドアに耳を当てると中から女と男の声が聞こえてくる。






ゾワゾワするような会話が聞こえてきて俺は耳を塞ぎたくなるのを我慢してドアに手をかける。



もしこれがおりはだとしたら、どうして望んでいる声を出すのか…。



ここに来て現実から目を背けたい衝動に駆られるが何とか気を取り直した。






「よし…」






俺は気合いを入れ直してドアをゆっくり開けると、そこには目と耳を塞ぎたい光景が待っていた。






「あは、もっともっと」



「おりはちゃんおりはちゃん」






そう、ドアの向こうにはあの時のオヤジと
裸姿のおりはがいたのだ。