椛の異常なまでのおりちゃんのための行動は見てるこっちが心配になってダメだ。
まぁでも椛は目の前でおりちゃんのその光景を見たみたいだから辛いよね…。
「叶くん、椛くんに無理しないように伝えてて?」
僕が椛の心配をしていると、おりちゃんの母親の美咲さんがそう言ってくる。
そんなことを言う美咲さんもやつれてるんだけどね…。
「僕が探しに行けたらいいんだけど…」
「ううん、受験生だから勉強しないとだよ」
「うーん…」
おりちゃんが居なくなってずっとずっと暗い家の中で、生きてるのか生きていないのか分からない状況ももう辛い。
いろんな人が心配でたまらない僕が勉強をしに部屋に戻ろうとすると
ピンポンピンポンと何度もチャイムがなった。
「誰ですかー?」
あまりに何度も鳴らされるから僕が玄関から出ていくと、架子ちゃんがすごい焦った顔で口を開く。
「木下くんが!!ここに!!」
架子ちゃんが半分叫ぶようにそう玄関の少し先を指さした方を見ると
椛が道路に倒れ込んでいた。
「椛!?」


