椛に連れられて来たのは、学校近くのマンションの一室。


普通に鍵を開けて入る椛に色んな疑問が湧いて出てきた。






「ここは?なんで入ってるの?」



「借りたから以外ねぇだろ。
荷物運ぶぞ」



「借りたってどうやって…」



「いつも居ねぇ両親に頼んだんだよ。
こんな時くらい力貸さねぇとマジで親じゃねぇなつって」






そう言いながら有澤くんと外に出る椛のあとを着いていく。


椛の両親は確かに全然家にいないけどそんな事頼んでいいのかな…。


それに2人に教えたら居場所とかお父さん達にバレるんじゃないかな…。


とか色々ぐるぐる考えながら
倉庫から少ない荷物を取ってマンションに戻る。






「ていうか家具とかもある…」



「あぁ、あいつらが用意した。
あいつらもお前の母親の件知ってたから多少責任感じてんじゃね」



「そう…なのかな…。
律さんたちは悪くないのに」



「あと、居場所は伝えるなって言ってるから大丈夫だろ。
どうせ家にほとんど居ねぇし」






なんてことないように言う椛に、椛の両親の律さん達に心の中で感謝した。




帰らないといけないけど気持ちがまだ追いつかないなんて情けないけど…。

でもほんの少し…まだもうちょっと現実から目を背けたいんだ…。