亜美さんはおりちゃんを産む前から凶暴ではあった。

どうして椎は亜美さんを選んだのか謎なくらいには。


同じ家に住んでいて、僕が泣いたりしてたらよく怒ってきてたし。


それでおりちゃんが産まれてからは面倒も見ない、遊びに行きっぱなしで僕の両親も自由な人であんまり僕らの面倒は見ない人だったから

お医者さんをしながら椎は1歳の僕と産まれたばかりの椛とおりちゃんをほぼ1人で育ててた。




そんな姿を見てたからしっかりしないとと思うようになったわけだけど。




それで僕が2歳の時、頑張っていた椎に久しぶりに帰ってきた亜美さんは別れを告げて、親権も要らないと出ていってしまったのだ。



その時椛もおりちゃんももう寝てて、元々面倒みなかったし家にほとんど居なかったからおりちゃんが2歳になった時に今のお嫁さんである美咲と結婚して母親が変わったけど

きっと元々の親の亜美さんのことを忘れたのだろう。




その後すぐ弟のすずはが産まれて、おりちゃんもお姉ちゃんになって椛もだんだん凶暴な片鱗を見せ始めてそこら辺からはどうも覚えてるみたい。





そのことを思い出すとつらそうな椎の代わりに僕がそう説明すると
椛は何を考えているのか、ピクリとも表情を変えなかった。






「おりはは知らないんだろ?」



「うん、今日の反応見たでしょ、覚えてないと思うよ」