最悪だ。
椛にもバレてしまうなんて…。
そう思ったのはこの場にいるみんなだろうか。
一瞬静寂が訪れたあと、椎はため息をついて椛をみた。
「亜美に会ったんだろ?
亜美の言う通りだよ」
「は?じゃあ美咲はおりはの親じゃねぇのかよ」
「そう、美咲は俺の2人目の奥さん。
1人目が亜美。その子供がおりは」
椎はあまり思い出したくないのか、顔をしかめながらそういう。
それを聞いた椛の眉間のシワはより深くなった。
「は?いつ離婚したんだよ」
「叶が2歳、お前らが1歳くらいの時かな」
「覚えてねーぞ!」
「それはお前の記憶の問題だよ。
叶は覚えてたから知ってる」
椛の眉間のシワも深くなるけど
椎の眉間のシワも深くなってきていて
僕はもう笑うしかない。
そう、おりちゃんも椛も覚えてないみたいだけど
僕はどうやら昔の記憶はよく覚えてるみたいなのもあって覚えてるんだ。
あの悲惨な忘れられない亜美の存在を。