「いけないこと聞いちゃいましたね」
私は苦笑いまじりにそう言いながらポケットからメガネを取り出してかけ、立ち上がった。椿もそれに続くように立ち上がる。
「ごめんな。いつかは話すから」
椿は私が深く聞こうとしなかったことに安堵したような口調でそう言った。
初対面の人とこんなに話せれたのは初めてだ。普段は仁菜としか話さないからそう感じるのだろう。少し嬉しい気持ちと不思議な違和感を胸に私は屋上を後にした。
椿と別れて急ぎ足で教室に入れば、四方八方からの目線が私に集中してくる。いつもはこんな遅刻ギリギリの時間に入ってくる生徒など誰もいないのでこうなったのだろう。
私の学校は成績優秀な人達が半数を占めている。なので遅刻や欠席をする人などは滅多にいない。始業のベル十分前に来る人がほとんどだ。
私は慣れない視線に目を背けながらも窓側の一番前の席に着く。ここからだと度の合わないメガネをかけていても黒板に書かれた文字がしっかり見えるのだ。
度が合わないならメガネをかけなくても変わらないのだけれど、外したら先生やクラスの人に何かしら聞かれるので外せずにいる。それがいつしか癖になっているので今ではどうでもいいことだ。
それでもいつかは買いにいかなければならない。幸運なことに一番後ろの席になったことはないが、いずれはなってしまうと思う。
そうすればもちろん、黒板の文字も見えない。先生の顔もぼやけてのっぺらぼうみたいに見えてしまう。
私は苦笑いまじりにそう言いながらポケットからメガネを取り出してかけ、立ち上がった。椿もそれに続くように立ち上がる。
「ごめんな。いつかは話すから」
椿は私が深く聞こうとしなかったことに安堵したような口調でそう言った。
初対面の人とこんなに話せれたのは初めてだ。普段は仁菜としか話さないからそう感じるのだろう。少し嬉しい気持ちと不思議な違和感を胸に私は屋上を後にした。
椿と別れて急ぎ足で教室に入れば、四方八方からの目線が私に集中してくる。いつもはこんな遅刻ギリギリの時間に入ってくる生徒など誰もいないのでこうなったのだろう。
私の学校は成績優秀な人達が半数を占めている。なので遅刻や欠席をする人などは滅多にいない。始業のベル十分前に来る人がほとんどだ。
私は慣れない視線に目を背けながらも窓側の一番前の席に着く。ここからだと度の合わないメガネをかけていても黒板に書かれた文字がしっかり見えるのだ。
度が合わないならメガネをかけなくても変わらないのだけれど、外したら先生やクラスの人に何かしら聞かれるので外せずにいる。それがいつしか癖になっているので今ではどうでもいいことだ。
それでもいつかは買いにいかなければならない。幸運なことに一番後ろの席になったことはないが、いずれはなってしまうと思う。
そうすればもちろん、黒板の文字も見えない。先生の顔もぼやけてのっぺらぼうみたいに見えてしまう。


