夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

住宅街を通ってあっという間についた高校。まだ昼休みは終わっていないのか、ベンチに座って弁当を食べている生徒がちらほらいた。自転車を止める。それから椿の教室の方へ向かった。

その教室の近くまでくると何やら変な音が聞こえてきた。気づかれないようにこっそりと中を覗いてみる。

私はその途端、目を疑った。椿を含めた何人かの男子が咲結の身体中を足で蹴っていたのだ。

周りにいるクラスメイト達はクスクスと笑っていたり、知らぬ顔をしていたり、隅で怯えていたりといろんな人がいた。どこからどうみても異様な空気が漂っている。そんな感じだった。

思わぬ事態に足がガクガクと震えている。数分前メッセージアプリで話していた咲結が今ではこうなっているなんて、すぐに来てみてよかったと思った。

ここからが問題だ。私があの中に入れば、共に蹴られることになるか、舌打ち切らしてやめてくれるか、ましてやそれ以外か。どうなるのかは予想がつかない。でもこの状況で止めに行けるのはたぶん、私だけだ。

なら、やるしかない。

「やめて!」

私はそう力いっぱいに叫びながら勢いに任せて教室に入った。それと同時に咲結と椿は驚いた目をしてこちらを見る。他の男子達は私の声に気づいていないのか、蹴る足を止めてはいなかった。

どうしよう。どうやったら止められる?

何を言えば穏便に済ませれるのか、男子達を止めて咲結を助けれるのか。いくら思考を動かそうとしても目の前の恐怖からか、動くことができない。