夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

それに椿の家であるメガネ屋は祖父が経営していると聞いた。なのに既に亡くなっているなんて。まるで嘘でもつかれたみたいだ。

『どういうこと？』

そうメッセージを送ると、今は暇なのかすぐに返信がきた。

『それが私にもわからないの。でもきっと悪気はないと思うわ』

つまり無意識の内に人をいじめているという可能性があるということ。

椿の祖父がどういう人なのかを私は知らない。けれどたぶん、こんな孫になってしまっているのを望んではいないだろう。そう信じていじめを椿を止めに行くことを決意を心に決めた。

鍋の湯がぶくぶくと沸騰した音で我に返る。

パスタを手早く茹でてその間にコーンスープを作り温める。それらを皿に盛り、きざみのりをかけた。いわゆるスープパスタというやつだ。

コーンスープの味がパスタとよく絡み合っていて、数年前からよく作っていたものだ。

口にしてみても味はしなかった。自殺した仁菜と、幽霊としてもう一度会うことができて嬉しかったのに、一度心の中にぽっかりと空いてしまった穴は埋めにくいもののようだ。

味がしないパスタを無理やり喉に押し込んでそれから制服に腕を通す。普段は高校まで徒歩で行っているのだけれど、せっかく決心をしたのだから早めに行動をした方がいいと自転車で行くことにした。

早く着きたくて一心不乱にペダルを漕ぐ。雲ひとつない空の下、爽やかな風がセミロングの髪をなびかせていた。