夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

そんな私のことを知るよしもなく仁菜は呑気に「じゃ、早めによろしくねー」と去っていてしまった。

思わずため息をついてしまう。それから倒れるように寝転んだ。

今の現状にどう向き合えばよいのだろうか。

つくづくそう悩むばかりであった。


どれぐらい時間が経ったのだろうか。気づけば雨はあがっており、すっきりとした青空が広がっていた。

時計を見れば十二時半だ。今頃学校では昼休み中なのだろう。私のお腹もそろそろ空いてきたところだ。

一階に降り、お湯を底が深い鍋に沸かす。それから棚からパスタを取り出した。料理というのは気が乗らないものだけれど、毎食のように食べていたカップラーメンが底をついてしまったのだからやるしか道はないのだ。

湯が沸くのを待ちながらスマホのメッセージアプリを開く。咲結からのメッセージが何件かきていた。昨日、あたらめて友達になったということで連絡先を交換しておいたのだ。きっと今日学校を休んでいる私を心配して送ってきてくれたのだろう。

その中に目を見開くような言葉があった。

『私達が東山君にいじめられていた理由を考えてたんだけど、風の噂によると中二になるまでは優しかったんだって。だけどある日、祖父を失ったらしいの。それから人の物を盗んだり暴力を振るったりするようになったわ』

頭にクエスチョンマークが浮かんだ。大切な人を失ったからって人をいじめるなどおかしいことだ。